万葉集を読んでみた その2

前回に続き、万葉集2歌め。

大和(やまと)には 郡山(むらやま)あれど とりよろふ 天(あま)の香具山(かぐやま) 登り立ち 国見(くにみ)をすれば 国原(くにはら)は 煙(けぶり)立つ立つ 海原(うなはら)は 鷗(かまめ)立つ立つ うまし国そ 蜻蛉島(あきづしま) 大和の国は 

巻一(二)天皇の、香具山に登りて望国(くにみ)したまひし時の御製歌

万葉集入門サイトの黒路さんによる現代語訳がこちら

大和には多くの山があるけれど とりわけ立派な天の香具山 その頂に登って大和の国を見渡せば 土地からはご飯を炊く煙がたくさん立っているよ 池には水鳥たちがたくさん飛び交っているよ ほんとうに美しい国だ この蜻蛉島大和の国は

万葉集入門 黒路よしひろさん訳

この訳を読んだだけでも、雄大かつ素朴なほっこり感があって、いいなあなんて思うんだけど、こちらのサイトの解説によると

この歌、一見すると単なる香具山からの風景を見て詠んだ風景歌のようにも取れますが、
実はもっと深い呪術的な意味があるのだといわれています。
つまり、その国を見渡しながら「大和の国はすばらしい国である」と詠うことによって
言霊の力で大自然の神々に語り掛け、実際にそのような国になるように祈っているわけです。
ですから、この歌に詠まれている風景は、実際にはその時点で目の前にあるわけではないのですね。

という事らしいです。

すご!

天皇の役割が今も昔も「祈ること」であるというのは存じていましたが、この歌はまさに「祈りなう」というか「言霊使いなう」なシーンで、臨場感があります。

「理想をしっかりとイメージし、言語化しそれを定着させ未来を作り出す」

と言うのは、誤解を恐れずざっくりというと、現代における引き寄せの法則にも通底するところがありますね。

こういう精神的な伝統が、今もなお受け継がれているということが素敵だと感じます。

令和が素晴らしい時代になりますように! いや、素晴らしい時代であることだなあ(←言霊なう)

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