ど忘れなんか怖くない -のうだま-

言いたくないけど、年をとると物忘れが増える。それはまあある程度自然なこととしても、最近の僕に関しては笑い事ではない。

何回か前のライブの内容を全く覚えていないなんて当たり前だし、知らない間にデモを作っていてフォルダに入っていたりするし(それは得した気分になるのでどんどんあってほしい)日常生活でも「あれ、2階に何しに来たんだっけ?」的なことはもう

毎時間くらいのペースである。

あと、携帯は羽根でも付いてるんじゃないかっていうくらいに、すぐ僕の目の前からいなくなる。あれ、どこの部屋だっけ、トイレだっけとウロウロ、で結局なんかポットとコーヒーメーカーの間の隙間とか思いもつかないところにあったりする。そこに置くというセンスは、考えれば理解できるんだけど、肝心の置いたときの記憶が全くない。最近Apple Watchもつけてないので「ピコーン」と探すこともできない。

人の顔も覚えられない。かと思えば初対面の人でもどこかで会ったことがある気がしたりして、気が気ではない。だいたいもう山勘で話している。

まあ年だしね、脳細胞も減るって言うし…と思いきや、
年を取っても脳細胞は減らない! 脳は衰えない!
という希望あふれる学説を紹介してくれるのがこの「のうだま」である。

(あの「進化しすぎた脳」の池谷先生の本なので信頼感ある)

なんでも(認知症などの病を患っていないとすれば)ど忘れとは単純に覚えていることの総数が多くなり、検索が追いついていないだけで、本当に忘れてしまっているわけではないそうである。それが証拠に、思い出したらそれが正解と、なにも参照せずともわかる。僕しか正解を知らないようなことでも。じゃあ、それがわからず右往左往している僕と、正解に行き着いたときにはいそれが正解だよと得心できる僕はほぼ別人じゃないか!と思うけど、ど忘れとはなんとも味わい深い現象である。

その他にもこの本は、記憶の様々な種類や、その有効な活用法などを教えてくれる。ためになるし、励まされる良書である。マンガもわかりやすく面白い。そうか物忘れが酷くなったと思うのは錯覚だったんだ。そう思い込んでしまっているだけなんだ!良かったですね!

それにしたってさ! とは思うけどね。